ルンバとロボロックは吸引力Paで比べられない|比較の軸を整理

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ロボット掃除機を探すと、必ずと言っていいほどルンバとロボロックが候補に並びます。多くの比較サイトは「吸引力◯◯Pa」を横に並べて優劣をつけますが、実はこの並べ方には無理があります。

この記事は、両社の公式サイトの仕様表だけを使い、Paに頼らずに何で選べばいいかを整理します。実機は持っていないので、使用感の評価はしません。公表されている数値と、その数値が何を意味するかだけを扱います。

家具のない部屋の木のフローリング

結論:Paでは比べられない。比べられるのは4つの軸

先に結論だけ書きます。

吸引力(Pa)とは、掃除機がゴミを吸い上げる力を示す圧力の単位です。同じメーカーの新旧モデルを比べる分には意味がありますが、測定点やノズル形状、運転モードといった条件をメーカーが公開していないため、社をまたいだ数値の大小比較には使えません。

比較の条件(何を、いつ、どこの情報で比べたか)

比較の前提を先に開示します。

機種を固定しているのは、「ロボロックは吸引力が強い」といった言い方が、同じロボロックの中でもすぐ崩れるからです。実際、ロボロックは自社のラインナップだけで5,500Pa(Q8 Max)から36,000Pa(Saros 20)まで、一桁以上の開きがあります。

スペックを同じ物差しで並べる

Paの代わりに、両社が同じ形式で公表している項目だけを並べます。上位のCombo機(水拭き+ゴミ自動収集)同士、中位機同士の2組で比較します。

上位Combo機同士:Roomba Max 775 Combo と Qrevo Curv 2 Pro

iRobot Roomba Max 775 Comboロボロック Qrevo Curv 2 Pro
本体サイズ(奥行×幅×高さ)37.3×36.6×10.4cm35.2×35.0×7.98cm(ステーション別)
ナビゲーションClearView Pro LiDAR(LiDAR+カメラ+LEDライト)+PrecisionVision AILDSレーザーセンサー(自動格納式。格納時は100°後方視野)
水拭きあり(方式の詳細は公式ページに書かれていない)最大12Nの加圧・高速回転モップ/本体リフトアップ最大3cm/100℃温水でモップ自動洗浄
ゴミ自動収集紙パック式・最大3か月間紙パック式(乾燥機能あり、日数の記載は無い)

出典:Roomba Max 775 Combo 製品ページQrevo Curv 2 Pro 製品ページ(いずれも2026年8月8日確認)。

数値だけを見ても、**差がはっきり出ているのは「本体の高さ」**です。10.4cmと7.98cm、約2.4cmの差は、ベッドやソファの下に入れられるかどうかの分かれ目になり得ます。一方で「水拭き」の項目は、iRobotの製品ページには「あり」としか書かれておらず、加圧の強さや洗浄方法までは公開されていません。ロボロックのほうが同じ項目でも情報量が多い、という差もここに出ています。

平型のモップで床を拭いている

中位機同士:Roomba 105 Combo と Qrevo C

iRobot Roomba 105 Comboロボロック Qrevo C
本体サイズ(奥行×幅×高さ)33.6×33.5×10.4cm35.4×35.0×9.66cm
水拭きあり(方式の詳細は公式ページに書かれていない)最大200回転/分・壁際で伸びるモップ/カーペット検知で10mmリフト/45℃温風乾燥
ゴミ自動収集紙パック式・最大75日分2.7L紙パック式・60日分
吸引力(Pa)の表記非公表12,000Pa(測定条件は非公開のため単純比較は不可)

出典:Roomba 105 Combo 製品ページQrevo C 製品ページ(いずれも2026年8月8日確認)。

最後の行が、この記事のいちばん言いたいことです。同じ「吸引力」という項目でも、片方はそもそも数字が存在せず、もう片方は数字はあっても測定条件が分からない。 どちらも「悪い」わけではなく、比較の材料としては同じ土俵に立てない、というだけのことです。

段差の数値は「測り方」まで見ないと比較にならない

段差についても、両社の情報開示のしかたが違います。iRobotは確認できた4機種すべてで、乗り越え段差の数値を公式に記載していません。 一方でロボロックは機種ごとに公表していますが、測り方が統一されていない点に注意が必要です。

つまり「Saros 20は8.8cmまで乗り越える」という言い方は、単段の敷居や玄関框(かまち)が1枚だけある家庭にそのまま当てはまる数値ではありません。段差の数値を見るときは、その数字が単段のものか、複数枚を合計したものかを、まず確認する必要があります。iRobotのようにそもそも数値が無い場合は、比較のしようがないという前提で考えたほうが実用的です。

木のフローリングの上にラグを敷いたリビング

家具の下に入れる低さを重視するならロボロック

椅子の脚まわりやソファ・ベッドの下まで掃除させたい人にとって、効いてくるのは本体の高さです。

今回確認できた範囲では、ロボロックのSaros 20とQrevo Curv 2 Proが、いずれも高さ7.98cmです。Qrevo Curv 2 Proは、LDSレーザーセンサーを普段は本体内に格納し、使うときだけ立ち上げる方式(自動格納式)を採用しており、これが低さの理由のひとつになっています。Saros 20は塔状のLDSセンサー自体を使わない「StarSight 2.0」という3Dセンシング方式です。

iRobot側で確認できた4機種のうち、最も低いのはRoomba Miniの9.2cmで、水拭きと自動ゴミ収集の両方に対応するPlus 405 ComboやMax 775 Comboは10.4〜10.6cmです。フラッグシップ同士(Max 775 Combo対Qrevo Curv 2 Pro)で比べると、その差は約2.4cmになります。

家具の隙間に入れたい家庭では、この数センチが「入るか入らないか」を分けます。購入前に、実際に掃除させたい隙間の高さを実測しておくと、カタログの数字だけで判断するより確実です。

家具の脇に敷いたラグの上を掃除機で掃除している

紙パック交換の間隔を長く取りたいならルンバ

ゴミ自動収集機能つきの機種は、紙パックの交換というランニングコストが発生します。「◯日分」という日数は、各社が自社で決めた使用条件(週に何回、1回あたり何g)を仮定した目安で、前提が違えば同じ「4L」でも日数の表記は変わります。この点を踏まえたうえで、公表されている日数だけを比べると次のようになります。

iRobot側の最短(75日)が、ロボロック側の最長(65日)を上回っています。紙パックの交換頻度を抑えたい人には、この点はiRobotに分があります。ただし前提となる使用条件(1日の掃除回数・部屋の広さ・ペットの有無など)が各社で公開されていないため、実際の家庭での交換頻度がこの数字どおりになるとは限りません。あくまで「同じ条件を仮定した場合の公表値」として見てください。

なお、両社とも紙パック式を採用しており、紙パックそのものの購入費用は継続的にかかります。紙パックが不要なサイクロン式の機種は、今回比較した8機種の中には含まれていません。

ほうきで集めたゴミをちりとりに入れている

不満が出るとしたらどこか

実機を持っていないので、当サイトが体験として不満を語ることはできません。そのかわり、両社が自ら公式に書いている注意書きから、論理的に予測できる不満を、同じ数だけ挙げます。

ルンバ側で不満になりうる点

  1. 段差の数値が分からない。確認できた4機種すべてで、乗り越え段差の公式な記載が無いため、購入前に自宅の敷居の高さと比較しようがありません
  2. 床材との相性を先に確認する必要がある。iRobotの取扱説明書には、毛足の長いカーペットやムートン、柔らかい素材や黒・濃い色のフローリング、塗りたてのワックスやコーティング面、漆喰やけいそう土の壁などを「使用できない場所」として明記しています。該当する床や壁がある家庭は、事前の確認が欠かせません
  3. 高さ10cm未満の隙間には入れない。取扱説明書は「高さ10cm未満の狭い場所を、ルンバは走行できません」と明記しており、家具の下に入れる用途では確認が必要です

ロボロック側で不満になりうる点

  1. 障害物回避には下限がある。Qrevo CとQrevo Curv 2 Proの公式ページは「幅5cm、高さ3cm以上の物体を回避します」、Q8 Maxは「幅5cm、高さ3.5cm」と明記しており、これより小さいケーブルや靴下などは、そもそも回避の対象外です。公式も「100%の回避を保証するものではありません」と注記しています
  2. 段差の数値は単段の高さではないことがある。前述のとおり、Saros 20の8.8cmやQrevo Curv 2 Proの4cmは複数の段差を合計した値で、玄関の敷居1枚だけを想定した数値ではありません
  3. カーペットの毛足によっては回避モードの設定が必要。Qrevo Cの公式ページは「カーペットの毛足がモップリフトの高さより長い場合は、アプリでカーペット回避モードを選択してください」としており、初期設定のままでは想定どおりに動かない場合があります

こうした「仕様から来る不満」は、個体差や配送の問題とは別物です。同じ型番を買い直しても同じように起きるので、事前に確認しておく価値があります。逆に、配送時の梱包や初期不良といった不満は機種の設計とは関係のない話で、切り分け方は低評価レビューの読み方にまとめた4分類の手順が使えます。仕様への不満だけを拾い、この記事の内容と突き合わせると、自分に当てはまるかどうかが判断しやすくなります。

手元でスマートフォンを操作している

迷ったときの決め方

上から順に確認していくと、見るべき軸が絞れます。

  1. 家具の下やベッド下まで掃除させたいか → 本体の高さを最優先にする。今回の範囲ではロボロックのSaros 20・Qrevo Curv 2 Proの7.98cmが低い
  2. 自宅に単段の敷居や段差があるか → ロボロックは機種ごとの段差の数値を「単段か複数の合計か」まで確認する。iRobotは公式に数値が無いため、実際の段差の高さで試すしかない
  3. 紙パックの交換頻度を抑えたいか → 今回の範囲では、iRobotの最短(75日)がロボロックの最長(65日)を上回る
  4. 床が黒・濃い色のフローリングや毛足の長いカーペットか → 該当するなら、iRobotの取扱説明書の「使用できない場所」を先に確認する

この4問のどれにも当てはまらない場合は、低評価レビューの読み方の手順で、気になる機種の「仕様への不満」だけを拾い、この記事の表と突き合わせるのが現実的です。

よくある質問

ルンバとロボロックはどちらの吸引力が強いですか メーカー単位では比べられません。iRobot(ルンバ)は確認できた4機種の公式ページでPaの記載が1件もなく、ロボロックは機種ごとに公表していますが、測定条件(測定点・ノズル形状・運転モード)が非公開です。ロボロック単体でも5,500Pa(Q8 Max)から36,000Pa(Saros 20)まで一桁以上の開きがあり、「ロボロックは強い」という言い方自体が成立しません。

段差はどちらのほうが乗り越えられますか 比較できません。iRobotは確認できた4機種すべてで乗り越え段差の数値を公式に記載していません。ロボロックは機種ごとに公表していますが、Saros 20の8.8cmは4.5cmと4.3cmの二重段差の合計、Qrevo Curv 2 Proの4cmも2層の敷居を指しており、単段の高さではありません。自宅の段差が単段か連続かをまず確認する必要があります。

ゴミ自動収集の紙パックはどちらが長持ちしますか 今回公式に確認できた範囲では、iRobotの最短(Roomba 105 Combo・Plus 405 Comboの75日分)が、ロボロックの最長(Saros 20の65日間)を上回っています。ただし「◯日分」は各社が独自に設定した使用条件を前提にした目安のため、実際の家庭での交換頻度がそのまま当てはまるとは限りません。

家具の下に入れる薄い機種はどちらにありますか 今回確認できた範囲では、ロボロックのSaros 20とQrevo Curv 2 Proが高さ7.98cmで、iRobotで確認できた4機種の中で最も低いRoomba Mini(9.2cm)よりさらに低い数値です。上位のCombo機同士で比べても、Roomba Max 775 Combo(10.4cm)とQrevo Curv 2 Pro(7.98cm)で約2.4cmの差があります。

この記事の情報はいつ時点のものですか 2026年8月8日に、iRobot(ルンバ)日本公式サイトとロボロック日本公式サイトで確認した公表値です。仕様は各社とも予告なく変更されることがあるため、購入前には各製品ページで最新の情報を確認してください。当サイトは実機を持たず、公式スペックにもとづいて比較する方針を運営方針とプロフィールにまとめています。

まとめ

ルンバとロボロック、どちらが優れているかという問いには決着がつきません。吸引力(Pa)はiRobotが公表しておらず、ロボロックが公表していても測定条件が非公開なので、そもそも比べる材料になっていないためです。

決着がつくのは、条件を絞ったときだけです。

数値はすべて2026年8月8日時点で各社公式サイトに掲載されていた公表値です。測定条件や使用条件の前提は各社で異なる可能性があり、同じ条件で当サイトが測り直したものではありません。購入前には、各社の製品ページと取扱説明書で最新の仕様を確認してください。

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