消費電力(W)から電気代を計算する方法|式と単価の出典
この記事は2026年8月7日時点の整理です。電気代の計算に使う単価は改定されるため、本文の数字にはすべて「いつ・どこが公表した値か」を添えています。 計算例に出てくる消費電力と使用時間は、特定の商品ではなく仮の値です。
結論:電気代は「消費電力(W)÷ 1000 × 使用時間 × 単価」で計算できる
家電1台の電気代は、次の式で計算できます。
電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1000 × 使用時間(h)× 電力量の単価(円/kWh)
1000で割るのは、W(ワット)を kW(キロワット)に直すためです。電気の請求は kWh という単位に対してかかるので、W のままでは単位が合いません。
ただし、この式をそのまま当てはめてよい家電と、大きく外れる家電があります。分かれ目はその家電が定格消費電力のまま動き続けるかどうかです。電気ケトルやドライヤーのように、スイッチが入っている間はほぼ全力で動く家電なら、この式で実態に近い数字が出ます。エアコンや冷蔵庫のように出力が自動で上下する家電では、後で示すとおり3倍近くずれることがあります。
以下、①単位の意味 ②単価の出典 ③自分の契約単価の求め方 ④計算例3つ ⑤ずれる理由、の順に整理します。
「1kWh」とは何か
1kWh とは、1kW(=1,000W)の電力を1時間使ったときの電力量のことです。電力会社の検針票に載っている「使用電力量」は、この単位で数えられています。
W と kWh は混同しやすいのですが、役割がまったく違います。
| 単位 | 読み | 表しているもの | 例(仮の値) |
|---|---|---|---|
| W | ワット | その瞬間に使っている電力の大きさ | 電気ケトルの定格 1,250W |
| kW | キロワット | W の1,000倍 | 1,250W = 1.25kW |
| Wh | ワットアワー | 電力(W)× 時間。使った量 | 1,250W を1時間 = 1,250Wh |
| kWh | キロワットアワー | Wh の1,000倍。請求はこの単位 | 1,250Wh = 1.25kWh |
覚えることは一つです。電気代は W にではなく kWh にかかります。 W が大きくても動く時間が短ければ電気代は小さく、W が小さくても動きっぱなしなら積み上がります。
単価は何円で計算すればよいか
家電の広告やカタログで「電気代の目安」を表示するときに使われている、業界共通の単価があります。公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が定める**電力料金の目安単価 31円/kWh(税込)**です。同協議会のよくある質問ページには「令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です」と記載されています(2026年8月7日に確認)。
出典:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問Q&A」
なぜ業界共通の単価が必要かというと、電気料金は契約する小売電気事業者とプランによって違うためです。メーカーごとに別々の単価で電気代を表示すると、製品同士を比べられなくなります。そこで、表示をそろえるための共通のものさしとして目安単価が決められています。
ここが誤解されやすい点です。31円/kWh は「表示をそろえるための目安」であって、あなたの契約の単価ではありません。 カタログに「1回あたり約◯円」と書いてあれば、それは多くの場合この目安単価で計算された値です。自分の家の実額を知りたいなら、次の手順で自分の単価に置き換えます。
自分の契約単価を検針票から求める
いちばん手早い方法は、割り算1回です。
実質単価(円/kWh)= その月の請求金額 ÷ その月の使用電力量(kWh)
検針票(電気ご使用量のお知らせ)や電力会社のマイページに、請求金額と使用電力量が両方載っています。1か月分だけだと季節の偏りが出るので、できれば3か月分を合計してから割ってください。
この割り算で出るのは平均単価です。内訳を知っておくと、なぜ人によって単価が違うのかが分かります。
| 明細の項目 | 何で決まるか | 使った量との関係 |
|---|---|---|
| 基本料金/最低料金 | 契約アンペアまたは契約容量 | 使わなくてもかかる |
| 電力量料金 | 使ったkWh × 段階ごとの単価 | 使うほど増える |
| 燃料費調整額 | 燃料価格の変動に応じて毎月見直される | kWhあたりで増減する(マイナスのこともある) |
| 再生可能エネルギー発電促進賦課金 | 国が年度ごとに単価を決める | kWhあたりで増える |
このうち再エネ賦課金は全国一律で、2026年度の単価は1kWhあたり4.18円です。経済産業省が2026年3月19日に公表した値で、低圧の契約では2026年5月分から2027年4月分に適用されます。
出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日公表)
「平均単価」と「1kWh増やしたときの単価」は違う
買い替えや使い方を変えたときに請求がいくら動くかを知りたい場合、平均単価では少しずれます。基本料金は使用量が変わっても動かないうえ、従来型の従量電灯プランでは使用量が増えるほど電力量料金の単価が上がる段階制になっているためです。
差分を知りたいときは、いま自分が乗っている段階の電力量料金単価 + 燃料費調整の単価 + 再エネ賦課金の単価を足した値を使うほうが実態に近づきます。段階制ではなく単一単価のプランもあるので、契約している事業者の料金表で自分のプランの構成を確認してください。
使用時間の数え方で間違えやすいところ
使用時間は「電源を入れていた時間」ではなく、その家電が電力を使っていた時間で数えます。式が正しくても、ここを取り違えると答えがずれます。
つまずきやすいのは次の4点です。
- 分・秒は時間に直す:3分は 3 ÷ 60 = 0.05時間、90秒は 90 ÷ 3600 = 0.025時間
- 1年に伸ばすときは使う日数を掛ける:通年で動く家電は365日、季節家電は実際に使う日数で数える(暖房を4か月しか使わないなら約120日)
- 1日に何回も使う家電は「1回の時間 × 回数」:電気ケトル・トースター・ドライヤーはこの数え方になる
- 同じ家電が複数台あるなら台数を掛ける:扇風機やサーキュレーターで見落としやすい
使用時間の見当がつかない場合は、いきなり1年で見積もるより、1週間だけ使った回数と時間をメモして約52倍するほうが誤差が小さくなります。

計算例3つ
以下の消費電力・使用時間・カタログ値はすべて仮の値です。実際の数字は、手元の製品の取扱説明書か、メーカー公式サイトの仕様表で置き換えてください。単価は目安単価の31円/kWhを使います。
例1:電気ケトル(短時間だけ全力で動く)
仮に定格消費電力1,250W、カップ2杯を沸かすのに3分かかるとします。
- 時間を h に直す:3分 ÷ 60 = 0.05時間
- 電力量:1,250 ÷ 1000 × 0.05 = 0.0625kWh
- 電気代:0.0625 × 31 = 約1.9円
1日3回、1年間使うと 0.0625 × 3 × 365 = 約68kWh、金額にして約2,100円になります。定格1,250W という数字だけ見ると大きく感じますが、動いている時間が短いので1回あたりは小さくなります。

例2:エアコン(出力が自動で上下する)
仮に定格消費電力600W、1日8時間使うとします。基本式にそのまま入れると次のようになります。
- 600 ÷ 1000 × 8 × 31 = 約149円/日
ただしこの数字はあくまで機械的に計算した値です。エアコンは運転開始直後に室温と設定温度の差を詰めるため大きい電力を使い、設定温度に近づくと出力を絞ります。定格消費電力は基準となる運転条件での値なので、8時間ずっとその値ということはまずありません。
エアコンの機種を比べるなら、仕様表の**期間消費電力量(kWh)**のほうが向いています。仮に期間消費電力量700kWhの機種なら、700 × 31 = 21,700円 が、その規格の条件での目安です。期間消費電力量は JIS で定められた条件(想定する部屋の広さ・外気温・使用期間・時間帯)で算出された値なので、自分の家の実額そのものではなく、同じ条件で測った機種同士を比べるための値だと考えてください。
例3:冷蔵庫(止まっている時間がある)
冷蔵庫は、基本式をそのまま当てはめると最も大きく外れる家電です。
仮に定格消費電力100Wの冷蔵庫があるとして、24時間365日そのまま動くと考えて計算すると、
- 100 ÷ 1000 × 24 × 365 = 876kWh → 876 × 31 = 約27,200円/年
一方、同じ冷蔵庫の仕様表に「年間消費電力量 300kWh」と書かれていたとすると、
- 300 × 31 = 9,300円/年(月あたり約775円)
3倍近い差が出ます。冷蔵庫のコンプレッサーは庫内温度に応じて止まったり出力を落としたりするので、定格のまま回り続けているわけではないためです。冷蔵庫・エアコン・こたつ・電気毛布のように自動でオンオフや出力調整をする家電では、定格 × 時間で電気代を計算しないでください。
定格消費電力と実際の消費電力がずれる3つの理由
定格消費電力は「その家電が常に使う電力」ではなく、決められた条件で測ったときの値です。ずれる理由は3つに整理できます。
1. 出力が自動で上下する
インバーター制御の家電(エアコン・冷蔵庫・洗濯機・DCモーターの扇風機など)は、必要な分だけ出力を変えます。仕様表の定格消費電力は基準となる運転条件での値なので、常時その値というわけではありません。強・中・弱の切り替えがある家電も同じで、仕様表には運転モードごとに別々の値が載っていることがあります。
2. サーモスタットで止まっている時間がある
温度で自動的に入り切りする家電は、電流が流れている時間が使用時間より短くなります。こたつ・電気毛布・アイロン・保温中の電気ポット・オイルヒーターなどが該当します。「2時間つけていた」ことと「2時間ヒーターに電流が流れていた」ことは違う、ということです。
3. 使っていないときにも電力を使っている(待機電力)
リモコンの信号を待つ、時計を動かす、タイマーを保持する、ネットワークにつながり続ける。こうした用途のために、電源を切った状態でもわずかに電力を使う家電があります。取扱説明書の仕様表に「待機時消費電力」として記載されていることが多いので、気になる機器はそこを確認してください。

なお、家庭の消費電力量に占める待機電力の割合として広く引用されている数字は、一般財団法人省エネルギーセンターが平成24年度(2012年度)に実施した調査報告書に由来します(国立国会図書館サーチの書誌情報)。10年以上前の調査で家電の構成も当時とは変わっているため、この記事では現在の数値としては扱いません。自分の家の待機電力を見積もりたいなら、その機器の待機時消費電力(W)× 待機している時間を基本式に入れるほうが確実です。
比較に使うなら「年間消費電力量」を見る
複数の機種を比べるときは、定格消費電力(W)ではなく年間消費電力量(kWh/年)、エアコンなら期間消費電力量を見ます。同じ規格・同じ測定条件で算出された値なので、機種間の比較に使えるためです。
| 見る値 | 使えること | 使えないこと |
|---|---|---|
| 定格消費電力(W) | 同時に使えるかの判断(ブレーカー・延長コードの容量) | 出力が自動で変わる家電の電気代の予測 |
| 年間・期間消費電力量(kWh) | 同じ条件で測った機種同士の比較 | 自分の家での実額の断定 |
| 検針票の使用電力量(kWh) | 自分の家の実額 | 機器ごとの内訳(測定器が必要) |
年間消費電力量や省エネ基準達成率は、資源エネルギー庁が所管する省エネ型製品情報サイトで機種をまたいで調べられます。店頭や製品ページに貼られている統一省エネラベルの値も、同じデータに基づいています。
ここで注意したいのは、カタログ値は測定条件つきの値であるという点です。条件が変われば結果も変わります。実際の使用条件は人によって違うので、カタログ値は「絶対額の予想」ではなく「同じものさしで並べたときの順位」として読むのが安全です。
この「その数字がどんな条件で出たものかを確かめる」という読み方は、レビューを読むときにもそのまま効きます。星の数や件数をどう扱うかは低評価レビューの読み方を整理した記事にまとめています。
計算した数字を実測で確かめる方法
この記事の計算はすべて「仮定」の上に成り立っています。気になる家電があるなら、実測して答え合わせをするのがいちばん確実です。方法は主に2つあります。
1つめは、コンセントと家電の間に挟む電力計測器を使う方法です。 消費電力(W)と積算の電力量(kWh)を表示する測定器が市販されています。コンセントに直接挿して使うタイプなので、専用回路につながっている機器や200Vの機器には使えないことがあります。測定器の定格電圧・定格電流を超える機器につながないでください。 対応範囲は製品ごとに違うので、購入前に仕様を確認してください。
2つめは、スマートメーターの使用量データを見る方法です。 事業者によっては、30分ごとの使用電力量をマイページやアプリで確認できます。提供の有無・表示の粒度・さかのぼれる期間は契約先によって違うので、自分が契約している事業者のページで確認してください。対象の家電を使った時間帯と使わなかった時間帯を比べると、その家電のおおよその上乗せ分が見えます。

どちらの方法でも、出てきた kWh に自分の実質単価を掛ければ金額になります。計算値と実測が大きく食い違うときは、単価より先に「使用時間」と「実際の消費電力」の仮定を疑うほうが原因にたどり着きやすいです。
よくある誤解
「W数が大きい家電は電気代が高い」ではない
電気代がかかるのは kWh に対してです。仮に1,200W のドライヤーを5分使っても 0.1kWh(目安単価で約3円)ですが、100W の機器が24時間動けば 2.4kWh(約74円)になります。W だけを見て高い安いを判断すると、順位が逆転します。
「定格W × 24時間 × 365日」で年間電気代は出ない
例3のとおり、冷蔵庫では3倍近くずれることがあります。この式が使えるのは、スイッチが入っている間ほぼ定格のまま動く家電に限られます。
カタログの「1回あたり約◯円」は自分の電気代ではない
多くの場合、家電公取協の目安単価31円/kWhで計算された値です。自分の実額に直したいなら、その表示額を31で割って kWh に戻し、自分の実質単価を掛け直してください。
「電気代の単価はどこでも同じ」ではない
電気の小売は家庭向けまで自由化されており、契約する小売電気事業者とプランを選べます。基本料金の有無・段階制かどうか・時間帯で単価が変わるかどうかがプランによって違うため、同じ kWh でも請求額は変わります。他人が計算した電気代をそのまま自分の数字として使えないのは、このためです。
よくある質問
電気代の計算に31円/kWhを使ってよいですか。
機種同士を比べる目的なら問題ありません。家電公取協が広告・カタログの表示をそろえるために定めた目安単価で、2026年8月7日時点で31円/kWh(税込)です。ただし自分の家の実額を出したい場合は、検針票の請求金額を使用電力量で割った実質単価に置き換えてください。契約先とプランによって単価は変わります。
定格消費電力が同じなら、どのメーカーでも電気代は同じですか。
同じとは限りません。定格消費電力は基準となる運転条件での値なので、実際にどこまで出力を絞るかという制御の違いは反映されないためです。エアコンや冷蔵庫では、定格が近くても年間・期間消費電力量が違うことがあります。比較するときは kWh 表記の値を見てください。
仕様表にアンペア(A)しか書かれていない場合はどう計算しますか。
電圧(V)× 電流(A)でおおよその W が出ます。100V の機器で15Aなら1,500W です。ただしこの計算がほぼそのまま当てはまるのは熱を出すタイプの家電(ケトル・ドライヤー・トースターなど)で、モーターやインバーターを使う家電では一致しないことがあります。仕様表に W の記載があるなら、そちらを優先してください。
計算した金額と実際の請求が合わないのはなぜですか。
請求には電力量料金以外の要素が含まれるためです。基本料金(または最低料金)、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が加わり、プランによっては使用量に応じて単価が変わる段階制になっています。家電1台分の電気代を正しく計算しても、請求総額とは一致しません。
年間消費電力量のとおりの電気代になりますか。
なりません。年間消費電力量や期間消費電力量は JIS で定められた測定条件で算出された値で、部屋の広さ・断熱・設定温度・使用時間は家庭ごとに違うためです。カタログ値は「同じ条件で測ったときに、どちらが少ないか」を比べるための値として使ってください。
まとめ
- 電気代の基本式は 消費電力(W)÷ 1000 × 使用時間(h)× 単価(円/kWh)
- 単価は、比較目的なら家電公取協の目安単価31円/kWh(税込・2026年8月7日確認)、実額なら検針票の請求金額 ÷ 使用電力量
- 基本式がそのまま使えるのは、スイッチが入っている間ほぼ定格で動く家電(電気ケトル・ドライヤーなど)
- 自動で出力が変わる家電(エアコン・冷蔵庫など)は、年間消費電力量・期間消費電力量(kWh)で比べる
- カタログ値は測定条件つきの値。絶対額の予想ではなく、同じものさしで並べた順位として読む
数字が「どういう条件で出た値なのか」を確かめる姿勢は、スペック表でもレビューでも変わりません。レビュー側の読み方は低評価レビューの読み方にまとめてあるので、あわせて読むと商品ページの情報を同じ物差しで扱えるようになります。